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European Academy of Esthetic Dentistry

海谷歯科医院 海谷幸利

ヨーロッパ審美歯科の祭典

はじめに
さる2013年5月30日~6月1日の3日間ギリシャ クレテ島においてヨーロッパ審美学会(EAED)が開催され5D-JAPANの船登彰芳氏、鈴木健造、中川雅博、神津聡、村田功各先生、筆者を含む計6名で参加をさせていただいた。
EAED自体27回目の開催であり開催地は会長の自国開催というきまりになっている。
筆者自身はじめての参加であり、ヨーロッパの潮流がどのようなものなのかを肌で感じたく今回参加させていただいた。
以下
概要、主なトピックを紹介させていただきたい。

クレタ島

第二次世界大戦で旧ドイツ軍とイギリス軍が激突したアテネから飛行機で約45分のところにあり地中海に浮かぶギリシャ最大の島である。
とにかく景色、気候ともすばらしく一面オリーブ畑が広がっていた。
学会自体はElounda Bay Palace Hotelという一面ブルーオーシャンの広がる景色にたたずむすばらしいホテルで開催された。
講演会場もひとつの場所で行われこじんまりとしたアットホームな雰囲気をうけた。
開会式は魅力的な音楽と映像につつまれたのち会長の挨拶のあと初日のセッションが華々しくスタートした。

一日目 Biologic Interfaces

午前
The Perio /Restorative Interface

最初のスピーカーはDr Allesandoro Pozzi(イタリア)でポンティックの形態を4つに区分し抜歯窩のソケットの処理、ペリオの患者に対するハイジーンに処理にはどのような形態が適切であるかという内容を述べた。
Dr Domenico Massironi (イタリア) はマージンポジションの重要性について述べ縁上、ジャスト、縁下における分類、サルカスの深さによる分類分けをし炎症や退縮の度合い、コードの種類や圧排器具についても詳細に説明されていた。
Dr Massimo Fuzzi(イタリア) はマージンの形態、特に歯周処置後の支台歯形成の形態についてのべていた。
Dr Gerd Korner(ドイツ) はRoot Cover, クラウンレングスニングについてのべクラウンレングスニングにはステントが必要であることを説明しPerio-Restorativeにはバイオタイプ、サージカルテクニック、フェイシャルポジションが重要であると述べた。
ここまでは午前の部で午後の部はインプラントのセッションとなっていく。
Dr Xavier Vela(スペイン) はプラットフォームスイッチングの優位性、Dr Nelson Silva(Brazil)はインプラントサーフェイスについて、Dr Sjoerd Smeekens(オランダ)は前歯のインプラントの3Dポジション、Dr Arndt Happe(ドイツ)はアバットメントの性状と前歯部のGBR+埋入についてそれぞれ述べた。
特にXavierのポンティックを押し込んでのテンポラリーの設置しファイナルの仕上がりもきれいであったこと、インプラントのサーフェイスにおいてのBioActive VS Wettingの話は印象にのこった。
ここで初日のセッションが終了した。

Welcome Party

今回はホテル内のBeach Partyとして行われ、演者を含むすべての人がつどい親交を深めた。
Partyには家族の方も多くつめかけミュージックありダンスありといったヨーロッパならではの雰囲気をあじわえたことは筆者にとって非常に有意義であった。

2日目 Material Interface

この日はまずPolymers and Adhesionという内容から始まった。3名の演者が接着、コンポジットレジンのそれぞれの考えをマテリアル、Chemical の切り口から述べた。
次のセッションではベニア、Restorative Materialが述べられた。
Dr Mathias Kern(ドイツ)はミニマムインベイシブの重要性を語り接着ブリッジの有用性を説明しメリーランドブリッジにおける接着法、セメントの種類などを述べた。
Dr Markus Blatz(アメリカ)はオールセラミック修復について述べた。
シリカ系、ジルコニアの強度の比較、内面処理のマテリアル、セメントのマテリアルについて詳細に語った。ジルコニアとPFMとの経年的な比較、今のオールジルコニア修復については興味深かった。
2日目最後のセッションは
The Perio / dental interface
Dr Giano Ricci(イタリア)はEsthetic parameters in crown lengthening procedures と題し外科的、矯正的双方からのアプローチ法を述べた。
矯正的挺出においては骨をともなうもの、ともなわないものに分け外科的なものは個々の患者の状態による手技の分類を説明した。
Dr Dimitrios Tatakis(アメリカ)はRoot Coverについて様々なシステマティックレビューを用いて
Recession Treatmentを丁寧に解説していた。
CAF+CTG, CAF+ADM CAF+EMD CAF+PRP 使ったときの治療効果を詳細に述べられた。
この日最後の登壇はDr Giovanni Zucchelli(イタリア)は再生療法における審美治療の限界について述べた。
前歯部のリセッションに対するアプローチではEMDを使用した方法、EMD+CTGを使用した方法を術中のビデオを用いて詳細に説明した。かなり難易度の高い症例もこなしミネラライゼーションを用い外科をシンプルにあげていくやり方に筆者ならびに聴衆も聞き入りそのレベルの高さを印象づけられた。

最終日

Human Interfacesと題されたこの日のセッションは審美に対してデンティスト、テクニシャン、患者三方からの主観性と客観性について議論された。
どこまで審美を追求するのか、患者の希望、受諾さまざまな要素が審美治療を成功させるうえには必要であることが述べられた。
筆者が一番興味深かったのは最後のセッションである。
Dr Ueli Grunderが座長になりドクター2名が症例の問題提起をし、会場でディスカッションをするというものであった。Dr Grunderがいろいろな人を指し意見を述べ合うといった形式で一人は事故により前歯をなくしたEmergency Treatment をいかにすすめていくかの症例、もう一人は前歯部インプラントのGrey Margin のケースがだされあらためてインプラントポジションの重要性が理解できた。

おわりに

2日目の夜はKnossos Palaceという宮殿遺跡巡りがあり最終日にはビーチサイドのレストランでタキシード着用のGala Dinnerが催されるなど参加者にとっては非常に楽しい学会であったように思う
筆者にとっては初めての参加となったがヨーロッパ審美を肌で感じることができたのは有意義であった。来年はアテネで開催される。是非また戻ってきたい。
そして筆者がうれしかったひとつは今回ご一緒させていただいた船登彰芳氏の4D-Conseptが
Xavierのスライドに用いられていたことである。私自身5Dに所属させていただき各ファウンダーの先生方とともに研鑚をこれからもつんでいけることを心からうれしく思っている。また、我々のグループの向かっている先はまちがいなく世界の潮流であることを感じることができた。これからも日々研鑚を怠らず、臨床の向上に邁進していきたいと思う。
5D万歳!