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2016 EAEDレポート

松山デンタルオフィス 松山康正
あだち歯科クリニック 足立友秀

今回のEAED(ヨーロッパ審美歯科学会)は30周年記念総会で、デンマークのコペンハーゲンにて6月2日から4日にかけて行われた。
今年は5-D Japanファウンダーの船登、北島、石川、南、メンバーから鈴木、中川、神津、山中、海谷、石川(亮)、吉松、菊池、片山、松山、足立、合計15名の大所帯な旅行となった。

成田国際空港からスカンジナビア航空で12時間のフライトの後、コペンハーゲン空港に到着した。長時間のフライトは疲れたが、直行便だったのはうれしかった。気温は予想に反して寒くなく、太陽が出ると日差しが強く暑いぐらいであった。

まず我々は「世界のベスト・レストラン50」で首位に輝いた北欧料理店「ノーマ」で修業を積んだシェフがオープンした一つ星レストラン「KOKKERIET」で会食を行った。
前菜から最後のデザートまで5時間に及んだ壮大なコース料理は、日本の味に慣れている筆者の舌ではなかなか表現が難しいが、想像をこえた「Amazing!」なお味だったと言えるだろう。

翌日、コペンハーゲンの料理の衝撃が残りつつも、学会がスタートした。

今回のテーマは「Prognosis-The key for longevity」『予測–長期予後への鍵』であった。
EAED初日のセッションは、モデレーターを日本国際歯科大会にも来日され、ピンクの審美形成外科の本も出版した、Otto Zuhrが務め、‘”Takes for longevity_prognosis”
と題し歯周病における

・歯周治療
・歯周病による再生療法
・歯周—補綴治療
・若年者の歯牙移植 
という観点から、Mariano Sanz, Francesco Cairo, Eric Van Dooren, Jim Janakievskiらの講演が行われた。

中でも、初日の最後で講演された、Jim Janakievski の歯牙移植は、特に印象が深かった。
外傷により歯牙を欠損した時、特に若年者ではインフラオクルージョンの観点からインプラントは使用できないため、歯牙移植が有効であることを説明した。
方法はまず下顎4番を上顎1番に移植する場合、近遠心的には中央の近心寄り、頬舌的には口蓋側に位置するように埋入窩を形成し、事前に作成された歯牙モデルにて試適をおこない移植する。顎堤が吸収している場合は骨移植を行って改善してから移植を行う。
その後治癒期間を待って矯正治療を行う。移植歯のスキャロップが隣在歯のそれと合うように矯正していく。

そして最終補綴はダイレクトべニアにて非侵襲的に補綴する。
提示されたのは10歳と11歳の症例で年齢的に制限はあるだろうが、生活歯のまま移植が成功しており今後の歯牙移植の発展を予感させる内容であった。

2日目は、まずはDidier Dietschiがモデレーターで、“Operative and Restorative Session”と題し補綴処置に関する術式と選択がテーマで、Ricardo Mitrani、Irena Sailer、Stefano Inglese、Walter Devotoが登壇した。午後は、“John Mclean Honorary Lecture”というタイトルで、David Winklerをモデレーターとし、Kenneth Malamentのレクチャーであった。

この中で、 “Long term outcomes of fixed restoration”と題した、Irena Sailerのプレゼンは、シングルとマルチにおける補綴の選択を、治療介入の程度や、シュチュエーションに応じて行いやすい様、美しいチャートで解説された。特にCAD/CAMを用いた、Monolithic素材(単一材料)に関する有効性と、最新の知見がまとめられ、今後の自分自身の選択に大いに参考になる講演であった。

3日目は“Implant session”でFrank Bonnetをモデレーターとし、インプラント治療における、唇側骨の変化、リッジプリザベーション、埋入のタイミング、軟組織の厚さ、rhPDGF-BB、軟組織移植などについて、Homa Zadeh、Marc Nevins 、Giovanni Zucchelliが登壇した。
その中で印象的であったのは、やはりGiovanni Zucchelliであった。
彼の代名詞である、インプラン周囲組織のリセッションに対し、歯肉移植とCoronally advanced flapで審美的に仕上げていく症例はやはり圧巻だった。またズッケリ節ともいえるあのしゃべり方は海外の学会でも異色で、会場は笑いと感嘆に包まれていた。
しかし、今回、目を奪われたのは、重度の歯周病の単独前歯に対して、軟組織造成を行ってから骨造成をせずにインプラント埋入を行い審美的にしあげていた症例であった。
最後に、「われわれは、インプラント周囲に対する軟組織の造成は多くの可能性がある」とし、 “Soft tissue guided implant therapy”という独自の見解を披露した。

学会は盛況に終わり、タキシードに着替えて美術館に移動し、GALAパーティーに出席した。

パーティーの中盤では新たにアフィリエイトメンバーとなったドクターの認定式が行われ、我が5-D Japanからは北島、石川(両先生)が認定された。
会場の色々なドクター達と久しぶりの再会を喜び、近況を報告しあったり、本学会の講演についてディスカッションする先輩方をみて、ある種の憧れと5-D Japanの底力を感じた。
今回海外の学会に出席して思ったことは、ある程度英語を勉強していても、講演内容は大体理解できるが、ディスカッションレベルになると途端に解らなくなる、ということだった。より英語力を身に付けないと行った意味が半減するように感じた。
来年のEAEDはイタリアのミラノでの開催である。今回よりもより盛り上がる学会となるだろう。その楽しさが半減しないよう次回までに臨床力と英語力をアップしなければと、
帰りの飛行機の中で決意するのであった。

最後に、来年のミラノでのEAED開催日は2017年5月25日から27日ですが、前日の24日に5-D Japan主催によるGiovanni Zucchelliの1日講演を通訳付きで予定してます。ご興味のある先生は5-D Japan事務局までご連絡ください。

5-D Japan事務局
大阪市鶴見区今津中3-9-5
電話:06-6963-0555
e-mail: support@5-djapan.com