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5-D Japan 第1回総会報告記

喜多大作

平成22年3月14日(日)、シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区)にて、
5-D Japan第1回総会が開催された。まだ、寒さは残るものの春の訪れを思わせる爽やかな晴天に恵まれた。会場には、歯科医師や歯科技工士ら200人以上の参加者が集まり、5-D Japanの1年を締めくくるにふさわしい熱気につつまれていた。

オープニングには、”各専門分野のオピニオンリーダー達によるスタディーグループの垣根を越えた環境作り”をコンセプトとしたムービーが華々しく映し出され、会場の雰囲気を一変した。

最初に、北島一が5-D Japanのこの1年の活動について報告した。2009.1.12の発足記念講演会の開催に始まり、研修会や海外での活動の様子が次から次へとスクリーンに映し出された。今年1年走り続けている5-D Japanのアグレッシブな姿が手に取るように伝わると共に、今後の活動にも期待が寄せられた。
午前中の会員発表は、今秋より新たに開始するファンダメンタルコースの講師をつとめる4人により行われた。

トップバッターとして喜多大作(大阪府勤務)が「今、ファンダメンタルアプローチを再考する」と題して発表した。歯牙及び歯質の保存という歯科医師としての本来の目的をおろそかにしてはならない。保存修復処置や歯内療法において重要な接着や無菌的処置の基本的手技を説明し。基本的な知識や技術を正確に治療に反映させることの重要性について語った。

次いで吉田健二(大阪府勤務)が「レジン充填のもたらすMIと審美」のタイトルで発表を行った。直接修復であるレジンを用いた治療を審美的に行うには、色調が重要であることは当然ながら形態の再現が大切である。術者が解剖学的知識を持ちトレーニングを積むことで歯の持つマクロ的そしてミクロ的な形態を再現することができる。どのようなポイントに注意して行うべきかを症例を比較しながら解説した。

続いて殿塚量平(東京都開業)が「矯正治療とのインターディスプリナリー:顎口腔機能の調和」と題して発表を行った。治療結果に長期的安定を求めるためには咬合は重要である。咬合再構成を行う上で、顎関節に注目し関節円板を整復した位置で治療を進めていくことでより安定した結果を得られる。顎関節の画像を提示しながら症例について解説を行った。

会員発表の最後に藍浩之(愛知県開業)が「歯周治療のコンセプトをインプラント治療に応用する」というテーマで発表を行った。
5-D JapanのBOGRのコンセプトに沿って治療を行うことで、歯周組織の長期的な安定を得ることができる。その概念は天然歯のみならず、インプラント治療においても同様に重要である。一口腔内で、様々な手技を駆使し硬組織・軟組織の調和を図った症例を提示し解説を行った。

午後は、石川知弘がモデレーターとなり、船登彰芳と小濵忠一氏(福島県開業)による症例討論会が3部構成にて行われた。
治療を行う上で、選択する治療計画や術式は唯一無二ではなく、術者のフィロソヒーや患者の要望により異なる。二人のスペシャリストが持つフィロソヒーの共通する部分や異なった部分をディスカッションすることで、臨床のヒントを得ることが、今回討論会形式で行われた趣旨であると感じた。

討論会のテーマは、臼歯部の上部構造の考え方、前歯部審美領域での組織のフレームワークの増大や保存に対するアプローチの方法、アバットメントのマテリアル選択や形態に関する考察など多岐にわたる内容であった。まさに、スタディーグループの垣根を越えた熱いディスカッションがなされ、全てのパートで充実した内容であった。

本討論会では、モデレーターが会場の参加者に症例の術式やマテリアル選択などの質問を投げかけ、参加者らが携帯電話の端末を通して回答し、その集計結果を瞬時にスクリーン上に投影するといった新しい試みがなされた。討論会の前後で参加者の意見が変わる様子がうかがわれ、討論会の趣旨が参加者に伝わっていることを実感できた。演者と会場が繋がりを持つことでより一層会の盛り上がりをみせた。

上の写真は、5-D Japanの5人のファウンダーと小濵忠一氏そして、この秋から始まるファンダメンタルコースの講師陣4人である。5-D Japanは、去年のキックオフミーティングから1年間止まることなく走り続けてきた。第1回総会ではその充実した1年間を感じさせるものとなった。今年度も新しい内容を盛り込み、更なる加速を見せて走り続けている5-D Japanに今後も注目していただければ幸いである。